THE 78TH REGULAR CONCERT

早稲田吹奏楽団第78回定期演奏会

    

早稲田吹奏楽団第78回定期演奏会
2018年1月13日(土)
16:00 開場 16:30 開演
府中の森芸術劇場 どりーむホール


終演いたしました

MAIN PROGRAM

第78回定期演奏会のメイン曲は、河邊一彦氏による、委嘱作品を初演いたします。

ガラシャ – Gracia – for Symphonic Band

(40周年記念委嘱作品)

トリッキーなリズムと和風の旋律を混ぜ合わせ、幾つもの名曲を作ってこられた作曲家、河邊一彦氏による早稲田吹奏楽団40周年記念委嘱作品です。
細川ガラシャ夫人は激動の戦国時代を生きた将軍・明智光秀の実娘であり、数奇な運命に翻弄されながらその生涯を閉じました。名前は悲運からキリスト教に傾倒した際の洗礼名で、ラテン語で「恩恵・神の恵み」を意味します。
戦乱の世に打楽器の強烈な一撃が打ち込まれることで本曲は幕を開け、木管楽器が儚げな主題を奏でます。しかし細やかな旋律は長くは続かず、ガラシャを悲運の女性たらしめた本能寺の変へと場面は変わります。
中間部ではガラシャが神に祈りを捧げながら、かつての平穏で幸福な日々に想いを馳せます。舞台から場所・時間共に隔てられたトロンボーンとホルンがグレゴリオ賛美歌「最期の日(Dies Irae)」を歌うと、アルトフルート、アルトサックス、そして舞台上のトロンボーンが呼応して、主題を少しずつ膨らませていきます。楽想は肥大の末に破裂。ガラシャはここで自らの死を悟ります。
鋭いリズムと不協和音の連打から、ガラシャの最期が始まります。姿の見えないバンダ演奏が舞台袖から三たび主題を奏でると、その不穏な波は舞台上に瞬く間に広がり、刻一刻と近づく最期の時を思わせます。激しいトゥッティの狭間に鍵盤楽器の優しい楽想が姿を現わすものの、かき消され。穏やかな楽想には何かを諦めたような切なさが紛れ。あの幸せな日々に戻ることができないとわかった今、半音階が一気に下降し、悲劇的ながら怒涛のクライマックスを迎えます。
本演奏会最大規模の編成・演奏時間で、一人の女性の壮絶な生涯を描き出します。一本の映画を見るかのような楽曲です。ぜひ、初演を本演奏会にてお聴きください。

河邊 一彦

作曲家・指揮者

大分県立芸術短期大学付属緑ヶ丘高等学校音楽科、武蔵野音楽大学音楽学部器楽科を経て1977年に海上自衛隊に入隊。1989年幹部に任官し、大湊、舞鶴、横須賀各音楽隊長を歴任後、2010年3月から2013年3月まで海上自衛隊東京音楽隊長として演奏活動に従事。この間、東京藝術大学音楽学部において1年間、桐朋学園大学音楽学部研究生として2年間の指揮法研修を行う。 作曲活動も精力的に行っており、吹奏楽のための作品として有名なものを取り上げると、当団75回演奏会で取り上げた『交響組曲「高千穂」』の他、「夢燃ゆる、紅き空に」「祈り〜a Prayer」などがある。その他、多数の編曲作品がある。宮崎県出身。

ABOUT

ワセ吹とは

早稲田吹奏楽団(通称ワセ吹)は、早稲田大学唯一の公認インカレ吹奏楽サークルです。早稲田大学をはじめ様々な大学、学校の学生が集まり、各学年40名程度、総団員数は180名を超える大所帯で活動しています。 年2回の定期演奏会を中心に、長野県での98カレッジコンサート出演、都内の小学校や福祉施設からの依頼演奏、早稲田祭でのミニコンサートなど、数多くの演奏機会をもっています。 有志で出場している吹奏楽コンクールにおいては、四年連続都大会本選への出場、今年度はついに本選でも金賞という結果を頂くことができました。 当楽団はたいへん多くの団員が在籍していながら「全員がレギュラーである」をモットーに、演奏会のプログラムをいくつかに分割し、奏者を入れ替えることで団員全員が出演する演奏会を実現しています。 練習以外にも、スキー旅行やパート旅行など多くのイベントを通して、パート・学年などの垣根を越えて交流を深めています。


Program

民謡色の強い作品で数多くの人を魅了してやまない作曲家、ヤン・ファン=デル=ロースト氏が、2011年に発表した大序曲です。
曲名のクレッセントムーンとは三日月のこと。それと同時に、「徐々に」「成長しかけの」を指す単語を組み合わせた「cre-scent(クレッセント)」の名の通り、曲の進行に合わせて、豪華な音響へと変化していきます。
序盤はティンパニの強烈なリズムと中低音のメロディーから始まります。トランペットや木管楽器の音色を存分に巻き入れ、一段と華やかさを増し行き曲はファンファーレへ。そして音楽は技巧的でありながらも聴く人の心を魅了してやまないメロディアスな展開へと流れていきます。
煌々と光輝く月明かりがコンサートの始まりを照らします。

CRESCENT MOON - GRAND OVERTURE

J.ファン=デル=ロースト
本曲の作曲者フィリップ・スパーク氏は明るく闊達としたサウンドの作品を過去すでに200曲以上創り上げており、そのどれもが世界中で愛されています。今回お送りする"Dance Movements"は彼が1995年に発表した組曲です。
1楽章は、楽団全ての音の上から突き刺すような和音が響く中、ホルンとサクソフォンが力強いオープニングテーマを奏でる強烈なラテン的曲調です。2楽章は木管楽器が主体、3楽章は金管楽器が主体となり、1楽章とは一転して特徴的な音楽が楽しめます。4楽章は複数の太鼓によるスリリングなリズムで始まります。そのリズムがブラスセクションへと広がり、短い休止を挟んで、燃え盛るように情熱的なファンファーレを導きます。スピーディーな展開が聞く者全てを熱狂させる本曲は、まさしく舞曲と言えるでしょう。

Dance Movements

P.スパーク
激しくうねる音楽の波の中、ひそやかな切ないメロディーを垣間見せる曲調で有名な作曲家、長生淳氏の2013年の作品です。コンクールで演奏される際にはoptional endingが採用されることが多いですが、今回はoriginal endingで演奏します。 
タイトルの「時に道は美し」は、同名の版画作品より取られています。版画は画家のG.ルオーが混沌とした世界の中の希望を描いたものであり、本曲もまた同じ描写を表しています。
ひりつくような高音木管楽器の連符とブラスの悲痛な叫びが曲の大半を支配する一方、ふと、優しく語りかけるような楽想が姿を見せます。それはまるで普段は気づきがたい親子愛や友人愛のような、ひそやかながらも温かい愛を思わせます。ピッコロとフルートの2本のみが会場を支配する終盤部では、やがて訪れる全休止の一小節が音楽をただひたすらな静寂の中へと沈め、本曲は終焉を迎えます。

時に道は美し〜愛について〜

長生淳
独特の色彩を持つ楽曲を数多く産み出し、課題曲作家としても取り上げられたことのある作曲家朴守賢(パク スヒョン)氏が2016年に発表した作品です。
曲は、「コンテンポラリー・ファンク」を主軸に3つの楽章で構成され、直管楽器のバッキングや、ドラムなどの打楽器を中心に展開していきます。
第1楽章「オーヴァーチュア・ファンキネス」は、序曲とはあるものの、皆様の予想を裏切るまさにファンクな楽想で、曲のテーマを示します。第2楽章「桃源郷」では、ゆらゆらと揺れ動く拍子が次第にビートを刻み、豊かな旋律へと変化します。第3楽章「フィフティーン」は、その名の通り全編が15/16拍子(3+3+3+3+3/16や、4+4+4+3/16など)で構成されます。
EL&Pや、Dream Theaterといった、プログレッシブの潮流をそのまま吹奏楽に当てはめた、プログレッシブ・ブラスの世界をお楽しみください。

桃源郷フィフティーン

朴守賢
The Seventh Night of July〜たなばたを高校在学中に作曲し、一躍人気作曲家としてその名を知らしめた酒井格氏が2017年に発表した作品です。
曲は、半音階を用いたティンパニのソロから劇的に幕を開けます。その後、J.S.バッハにより当時の大王に献呈された「音楽の捧げもの」のハ短調のテーマを中心に曲は進行します。本曲が実力派集団である、なにわOWに捧げられたという意味でもあるのではないでしょうか。
様々な場面で半音階によって曲は展開されますが、なかでも中間部のコラールでは、低音のベースラインが30の音を半音ずつ、2オクターブと完全4度に渡って19小節かけて下降していきます。
半音階という音形のもつ独特な世界を、絶対音楽の文脈で精緻に現した作品。随所にちりばめられた技巧的なソロにもご注目ください。

半音階的狂詩曲

酒井格
独特なオーケストレーションで近年日本でも注目を浴びているジュリー・ジル氏。日本の版画をモチーフに作られた栞から着想を得て、彼女が2013年に発表した作品です。
全6楽章から成り、それぞれが、葛飾北斎と歌川広重の作品を用いた栞から生まれています。第1楽章は雄大な楽想の「富士山」。行商人の行き交う様子を民謡風に表した第2楽章「日本橋」。波が徐々に大きくなる様を描いた第3楽章「神奈川沖浪裏」。荒々しいリズムと荘厳なメロディーが重なる第4楽章「浅草金龍山」。ピアノ・ハープ・アルトフルートが繊細に雪景色を歌い上げる第5楽章「蒲原 夜之雪」。そして、第6楽章は「箱根」。この楽章は「ドリフト」というサブタイトルが付いており、七曲りに代表されるスリリングな坂道を駆け下りるかのように颯爽と曲は進み、その勢いのままに幕を閉じます。

交響曲第4番「ブックマークス・フロム・ジャパン」

J.ジル