早稲田吹奏楽団 第81回定期演奏会

2019629日(土) 板橋区立文化会館 大ホール 開場 16:30 開演 17:00

曲目紹介

第Ⅰ部

Godspeed! 作曲:S.メリロ

本楽曲は、1998年にマンシー中央高校の委嘱を受けて作曲されたもので、オランダ王立海兵隊バンドによる録音がされた他、国内では士気シビックウインドオーケストラが2000年に全日本吹奏楽コンクールで自由曲として演奏して以来、今日まで多くの楽団により演奏されている。
組曲「名誉・勇気・誓約」(”Honor,Courage…Commitment”)の第3楽章と位置付けられている本楽曲だが、コンサートの幕開けとして演奏される機会が多い。
曲の”Godspeed!”は”May God speed you!”が語源の単語であり、「(困難は多いが)安全な旅路を・成功を祈る」といった意味の別れの挨拶として用いられる。作曲したS.メリロ氏は高校生の頃から手紙に必ず記していたという。

曲は急緩急の三部構成になっており、繰り返しの恩恵から始まる”speed”から連想される通り躍動感あふれる第一部、懐旧の念を起こさせるようなイングリッシュホルンとハープが特徴的なゆったりとした第二部を経て、第三部はスネアとクラベスの伴奏から突如始まり、これまでのテーマを引き継ぎつつ嵐のような勢いのまま曲を終える。(演奏時間6分)

復興 作曲:保科 洋

この曲は、室内楽曲の編曲や「風紋」で知られる保科氏によって、ヤマハ吹奏楽団の創立50周年を記念して2009年に作曲されたものである。
 「タイトルの”The rebirth”【復興】とは、ヤマハ吹奏楽団がたどった50年の歴史に思いを馳せつつ、未来のさらなる飛躍への期待をイメージして命名したものです。」(曲紹介より引用)というコメントの通り、東日本大震災などの各地を襲った震災と直接関係のある曲ではないものの、曲名とその力強い局長から震災以降様々な団体によって演奏される。

 曲はクラリネットによる静かでありながら陰のある序奏から、やがて起伏の激しいアレグロとなり、金管楽器や打楽器が加わって一層大きな動きとなる。頂点に達すると突如現れるティンパニから中間部へと移行する。
 中間部は「過去の屈折した苦い記憶を噛みしめるかのよう」なメロディを、サックスに呼応するかのように様々な楽器群が歌い継ぐ。
 再びアレグロが現れるが、中間部のメロディが「未来の飛躍を暗示するかのように明るくデフォルメされて」再び紡がれ、そのままクライマックスを形成しつつ、怒涛のようなコーダで曲を閉じる。(演奏時間9分)

ビスマス・サイケデリアⅠ 作曲:日影 貴文

 本楽曲は、第11回全日本吹奏楽連盟作曲コンクールで第1位を受賞した作品である。
ビスマスとは、蒼船とも呼ばれる原子番号83番の金属で、決勝が幾何学的な形状になり、表面が虹色に輝くという特徴を持つ。
 日影氏のビスマスに対するイメージを表現した作品であり、繰り返す難解なリズムや変拍子、不協和音や特殊奏法によって、まさしくサイケデリック(幻覚的)な作品となっている。

 衝撃的な幕開けから、混沌とした連符や打撃音にも似た金属質な響きを交えて曲は進む。明るい響きがあったかと思うと、規則的に反復する連符があり、極彩色の表面を見る角度を変えると異なる色が見えるように、次には全く違う動きへと変化する。様々な色を見せるビスマスの表情をお楽しみください。(演奏時間4分半)

交響曲第一番「グラール」より第四楽章 ロンド・コーダ 作曲:天野 正道

 天野氏は、無調の現代音楽から感情を揺さぶる美しい旋律まで、非常に多彩な曲を手掛ける作曲家として有名である。
 本楽曲は2010年にグラールウインドオーケストラによって初演され、それまで独立の楽曲として発表されていた三曲とともに『交響曲第一番「グラール」』の各楽章として発表されたという経歴を持つ。

 迫力あるティンパニの号令に呼応して、低音から徐々に規模を増す激しい序章から輝かしい響きが導かれる。「グラール」の第一楽章に当たる「ファントム・ドゥ・ラムール―幻影―」の瞑想的なフレーズを経て、スケールの大きいアレグロへと続き、第二楽章「エスティロ・デ・エスパーニャ・ポル・ケ?」の鮮麗な響きを再現する。アレグロへ再び移ると勢いそのままに転調し、頂点を迎えると、第三楽章「アダージョ・スウォヴィアンスキェ」の粛然とした主題がクラリネットによって提示される。様々な楽器によって展開しつつ、動きは全体へと波及し、最大となった時輝かしく曲は終結する。(演奏時間14分)

第Ⅱ部

甲斐の虎~武田信玄、天下取りへの道~ 作曲:清水 大輔

 この曲は、甲斐市敷島吹奏楽団によって2010年に初演された。同楽団は2007年にも山梨の情景を題材とした「Soaring Butterfly~空へ舞う蝶」を清水市に委嘱しており、山梨を代表とする武将である武田信玄を題材に、という依頼の下作曲されたのが本楽曲である。また、2010年の山梨県吹奏楽コンクールではコンクール用に「甲斐の虎~武田信玄天下取りへの道~霧晴れし時現る鶴翼の陣~わが武田の旗を立てよ!」という清水市により構成された8分程度の特別版を演奏している。

 「其の一・甲斐の虎」は、これから始まる壮大であり壮絶な一生を表す劇的な幕開け、幼い願いを回顧するようなサックスソロから続く旋律や、信玄の苦悩を表すかのような冒頭のフレーズの間に現れる無秩序な合奏など、武田信玄本人を表現した楽章となっている。
 「其の二・風林火山がはためき天下が動く…川中島の戦い」は、1553年から1564年まで5回にわたって繰り広げられた「川中島の戦い」がテーマとなる。信玄から見た戦を描いているため、激しい戦いの場面の他、武将としての信玄、人間としての信玄が描写されている。
 「其の三・天と地と…大ていは 地に任せて 肌骨好し 紅粉塗らず 自ら風流」は、震源の有名な「天と地と」、そして辞世の句を表している。其の一冒頭などに現れた信玄のテーマが再現され、二つの句を表す楽想の後に、その生涯をたたえるように最高潮の盛り上がりで幕を下ろす。(演奏時間19分)

藍色の谷 作曲:酒井 格

 「たなばた」や「三角の山」といった作品で広く知られる酒井氏によるこの曲は、2008年に龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部に書き下ろされたもので、同年の全日本吹奏楽コンクールの自由曲として発表された。
 特別な場所について描いた曲ではなく、「並木がきれいな下り坂から、遠くに見える景色…(中略)…といっても、日本ならばどこにでもありそうな、ごくごく普通の景色」(酒井氏のブログより)の道を通るときに巡らせる様々な思いを描いた曲である。「ついつい、多くのメンバーに見せ場を作りすぎて…」と回顧しているように、様々な楽器によって旋律が紡がれていく。

 冒頭のクラリネットのソロに続いて、突如音楽が膨らむがすぐに落ち着き、ユーフォニアムが引き継いで歌う。木管楽器群が奏でる満たされない思いを必死に叫ぶかのような叙情的なフレーズと、金管楽器群の前へ進み続ける動きが交互に現れながら曲は進んで行く。
 印象的なバリトンサックスとクラリネットの掛け合いや、曲の終わりを導くティンパニソロが特徴的な本楽曲から、全体を通して描かれる冷静さと情熱に揺れ動く心情を感じ取ってもらいたい。(演奏時間7分半)

ドラゴンの年(2017年版)  作曲:P.スパーク

 「宇宙の音楽」などの難曲を数多く発表しているP.スパーク氏が、広く世界に名を馳せるきっかけとなった本楽曲(原題:The Year of the Dragon)は、イギリス南西部にあるケルト文化で有名な国、ウェールズを代表するブラスバンドであったコーリー・バンドのために1984年に作曲されたもので、翌年本人の手で吹奏楽版に編曲された。曲名のドラゴンも、ウェールズの象徴であり、1959年以後国旗にも用いられているレッド・ドラゴンが由来である。
 今回演奏するこの「2017年版」はシエナ・ウインド・ オーケストラの委嘱により作曲されたものである。吹奏楽初版と比べて大きく書き換えられており、打楽器セクションや低音木管楽器群、ストリングベースを加えて大編成化した点と、木管楽器群のアーティキュレーションを見直した点、またソロなどを担当する楽器が改められている点が主な変更点と言える。

 第一楽章「Toccata」はスネアドラムとミュートをつけた金管楽器群の高速の連打から始まる。鋭いアクセントや絶えず変化する拍子感を持ち、最後のティンパニの連打まで終始緊張感に満ちた楽章である。
 第二楽章「Interlude」は印象深い下降のトゥッティで始まると、一転してアルトサックスの憂いある繊細な独奏が中心となる。その後は全楽器による豊かな響きのコラールが奏でられ、冒頭の下降形が現れると今度はイングリッシュホルンとフルートの独奏となるが、再びアルトサックスに受け渡されて終わりへと向かう。
 第三楽章「Finale」は前楽章から途切れることなく、木管楽器の早く細かい動きから開始される。早いテンポながら、堂々たる音楽が技巧的なソロを交えつつ進行していき、終盤には音量的にも技巧的にも圧倒的な響きがホールを支配して幕を下ろす。
 演奏会のメインにふさわしい華やかな響きを堪能していただければ幸いである。(演奏時間14分)

指揮者紹介

当楽団常任指揮者

竹内 公一

声楽家としてオペラ・コンサートに出演するほか、指揮者としての活動も多く、各地の吹奏楽団、合唱団、オーケストラの指導・指揮を務めている。ほかにも合唱団とのオラトリオの演奏やコンクールの審査員等、活躍は多岐にわたる。中でも吹奏楽においては長い経験と演奏家としての広い見識から独自の方法を持ち、幅広いレパートリーにおいて安定した演奏を続けている。これまでに200曲以上の作品を指揮し、多数の作曲家の作品を網羅している。当楽団には、1995年にトレーナーとして就任したのち常任指揮者となり、河邊一彦「ガラシャ」、鹿野草平「扉の先に見える丘」、本澤なおゆき「海を愛する者への交響的瞑想」等を初演指揮している。

早稲田吹奏楽団とは

 私たち早稲田吹奏楽団は早稲田大学公認の吹奏楽サークルです。インターンカレッジ形式を採用しているため、早稲田大学のみならず様々な大学の学生が所属し、現在では180名を超える大所帯となっています。「全員がレギュラーである」をモットーに、演奏会では曲ごとに奏者を入れ替えることで全団員の出演を可能にしています。また、有志メンバーで東京都吹奏楽コンクール職場・一般の部に出場しており、昨年度は5年連続となる予選金賞受賞、および本選出場を果たしました。そんな私たちが奏でる迫力あるサウンドをお楽しみください。

公演詳細

日時

2019年6月29日(土)
開場16:30 開演17:00 (開演前にプレコンサートがあります。)

会場

板橋区立文化会館 大ホール

チケット

全席自由 500円
前売り券(イープラス)

お問い合わせ
団長 鈴木 大智

会場へのアクセス

東武東上線「大山」駅 北口から徒歩約3分

都営三田線「板橋区役所前」駅 A3 出口から徒歩約7分

協賛のご案内

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